干支の年の大殺掠

 

 

 ポーランド、2014年に予防や治療方法のないアフリカ豚コレラウィルス(長い病名ですな)が確認されました。

 

 なにかといいますと、これにかかると豚さんが1週間程度で死亡するということで養豚場経営の人たちには恐ろしい病気なんですね。

 

 どこから入ってきたかというと、アフリカから東のグルジア・ロシア・ベラルーシを通ってやったきたそうです。

 で、この感染経路がイノシシにちがいない、とされて現政権が決定したことがすごかった。

 

 「(病気の拡大を防ぐため)どんどん殺っちまえ!子供をつれた母イノシシもガンガン撃ってしまえ!現在の頭数の10%ぐらい残せばいいかんじ」

 

 とまぁ、どきもを抜くような計画を発表し、この週末から猟師たちに実行するように通達したので、国中大騒ぎ。

 

 もぉ、イノシシが騒いでもこれだけうるさくならんだろう、というぐらいの大騒ぎで、この案を撤廃するよう書名や抗議運動がおこっています。

 

 そりゃそうでしょう、この数値が学術的計算、とかほかの生物に与える影響、とかエコシステムとかを完全に無視した、めちゃくちゃ目分量数値なんですもの。料理じゃないんだから、しっかり分析した数値をだしてくるかとおもいきや、まるで「お醤油をちょっぴりおとしましょう」的な数値。10%という数値の前には、『できるだけ殺っちゃって』という発言だったそうです。恐ろしい・・・。

 

 日ごろは、うきうきと森で狩猟をする猟師免許を持った人(ポーランドの社会雰囲気全体を見渡すと、はっきり言ってこのグループは好かれていませんけどね。。。)すら、「ちょっとまった!子供を連れた母イノシシを撃てって、本気でいってるのか?!オレはやらんぞ、そんなこと!」と言い出す人もちらほら出てきて、いつもは喧嘩している保護団体から拍手喝采を受ける始末。

 

 そもそも、野生のイノシシがどうやってそのウィルスを養豚場にもちこめたのか、がキーワード。

 

 このウィルスが騒がれ始めたとき、EUから対策用の補助金が出てるんですね。それを防止するためのお金があったにもかかわらず、2017年に検査したら74%の農家でウィルスを確実に防御する手はずが取られてなかった。。。って、つまり、人間が持ち込んだってことですかね。そして、ウィルスが蔓延したら、イノシシ一頭売ったら、猟師にいくらいくら払う、って・・・どうしてそういう発想かね。そもそも、その撃たれたイノシシがウィルスを持っているかどうかはどうでもいいらしい。とにかく数を減らせ、というのがお国のポイント。そうじゃなくって、農家にウィルスが入らないように金をかける、のが筋だと考えいるのが普通の人たち。

 

 いま、養豚農家団体が圧力をかけているため、その矛先を変えるためにイノシシの大殺掠が決定したということで、もぉ、あきれた。

 

 

 300人以上の学者が連盟で、首相に公開文書で「大量殺掠はおおきな間違えだ。農家に徹底したウィルス対策を求めてそこに補助金を出すべきだ」と発表。

話によれば、イノシシは野鼠とかも食べるそうで、この野鼠が運ぶ病気が人間に大きな病気をもたらすとか。イノシシが減る → 野鼠天国 → 病気の人間が増える とな。

 

 干支の動物になったというのに、イノシシさん、かわいそうに・・・。

 

補足:その後、連名した学者は800名を超しました。